開催日 : 2022年10月27日

協力 : 岐阜市、岐阜県・一般社団法人岐阜県観光連盟

写真好きと旅行好き。旅行するという点では同じですが、目的が違うため、好きな場所は似ているようで異なることがあります。日本最大級の写真好きコミュニティを運営する東京カメラ部は、厳しい環境が続く地方の観光名所支援のために、約2万作品のフォトコンテスト応募作品数と、200名を超えるフォトコンテスト入賞者アンケートを通じて、「写真好きによる日本全国の写真撮影地人気ランキング」を調査、発表しました。

本セミナーでは、この3年間で7位から3位までランキングが上がった岐阜県、岐阜市の観光を推進されている方々をお招きし、人気撮影地に発展させる為の具体的な施策や方法について対談しました。
対談の様子は以下のとおりです。地元資源をより魅力的に発信し、誘客促進に繋げたい、効果的な地元資源の発掘方法を知りたいなどの課題感をお持ちの自治体様のご参考になれば幸いです。

登壇者

岐阜市ぎふ魅力づくり推進部観光コンベンション課 主任

中村悠太

一般社団法人岐阜県観光連盟 事務局長

横田英俊


東京カメラ部株式会社 取締役/企画営業部長 高山 有仁

聞き手:東京カメラ部株式会社
取締役/企画営業部長 高山 有仁

東京カメラ部株式会社 企画営業部 田中弥也子

聞き手:東京カメラ部株式会社
企画営業部 田中弥也子 (進行役)

出演者紹介

本日はオンラインセミナー「『写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング』過去3年分を発表!毎年順位を上げる岐阜県に聞く!魅力発信と人気撮影地への発展方法」にご参加いただき誠にありがとうございます。
本日進行を務めます東京カメラ部の田中と申します。よろしくお願いいたします。

本セミナーは、弊社が発表した「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」の2020年から2022年までの各20位までを公開。その中でも毎年順位を上げている岐阜県の写真施策を中心にご紹介し、人気撮影地に発展させるヒントをお伝えできればと企画したものです。

また、本日は弊社とお取引のございます岐阜市様、岐阜県様の両職員様にもご登壇いただきますので、写真施策に関わる中での実際の声もお届けいたします。 まず、本セミナーの登壇者をご紹介します。

まずは私から自己紹介いたします。

東京カメラ部株式会社 企画営業部の田中弥也子と申します。
私は旅行会社に新卒入社し、募集型企画旅行の営業と欧州を中心とした海外・日本国内の添乗業務に従事した後、東京カメラ部に入社いたしました。
現在は、自治体様のSNS運営や写真を活用した誘客プロモーション、フォトコンテストを中心とした企業のブランディング施策に携わらせていただいています。
本日はよろしくお願いいたします。

次に、弊社取締役・企画営業部長の高山より自己紹介させていただきます。

高山高山です。よろしくお願いいたします。
私は大学時代に自治体経営について学びながら、自治基本条例制定のサポートなどをしていました。現在東京カメラ部株式会社にいて、クライアント様、大手企業様、自治体様に向けてPR施策の企画をしています。本日はよろしくお願いいたします。

次に、岐阜市ぎふ魅力づくり推進部観光コンベンション課の中村様、よろしくお願いいたします。

中村氏岐阜市ぎふ魅力づくり推進部観光コンベンション課の中村です。
私は2009年に岐阜市役所に入庁後、まずは交通総合政策課で市内の交通政策に関わりながら、2013年に民間企業の株式会社セブンイレブンジャパンに1年間出向しました。その後、産業雇用課で商店街関係の仕事や、管財課を経たのち、大河ドラマ「麒麟がくる」の放送を機に岐阜市にできた大河ドラマ館で「麒麟がくる 岐阜 大河ドラマ館」の運営等を担当。2021年から観光コンベンション課でフォトツーリズム事業を担当しております。
本日はよろしくお願いいたします。

 

次に、一般社団法人岐阜県観光連盟 事務局長の横田様、よろしくお願いいたします。

 

横田氏岐阜県観光連盟の横田と申します。よろしくお願いいたします。
私は1996年に岐阜県庁に入庁しまして、いろいろな部署を経験しながら、2021年に岐阜県観光連盟へ派遣されました。それから県庁に戻り、観光課や恵那の県事務所を挟みながら、2021年の4月1日から岐阜県観光連盟へ2回目の派遣となり、現在は事務局長という立場でお世話になっています。よろしくお願いいたします。

東京カメラ部のご紹介

それではランキングの発表に入る前に、東京カメラ部をご存じない方に向けて簡単に東京カメラ部をご紹介いたします。
東京カメラ部は2007年の設立以降、「世界はもっと美しい」のスローガンのもと、世界中のクリエイターに自由な発表の場を提供するというミッションで、写真を軸としたさまざまな事業を行っております。
東京カメラ部は日本最大級の写真投稿型SNSアカウントを保有しております。このアカウントへの年間作品投稿数は930万件以上、SNSアカウントの総ファン数は550万人以上、また、年間の延べ閲覧数が11億人以上です。ここで収集される作品や写真家との繋がりを、自治体様や観光庁様、企業様へ施策を通してご提供しております。
写真は、Instagram上でハッシュタグを付けてご投稿いただいており、日々多くの作品が投稿されております。投稿される作品は、スマートフォンで撮られたものから、一眼レフなどの機材で撮られたものなど幅広く、いずれも高品質な作品が多いことが特徴です。そのなかでもトップクラスに質が高い作品を掲載した写真集を、日経ナショナル ジオグラフィック様から発売されております。
東京カメラ部では写真を軸とした全10施策を、クライアントのニーズに合わせてカスタマイズしてご提供しております。根幹の事業はSNSアカウント運営代行ですが、フォトスポット開発、フォトコンテスト、リアルイベントの実施も行っております。
本日はぜひ、皆さまの課題感に沿った解決策のヒントを見つけていただけますと幸いです。

「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」について

次に、本日のテーマである2022年9月に弊社よりプレスリリースいたしました「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」についてご紹介いたします。
本ランキングは、日本全国の名勝地写真をご応募いただくフォトコンテスト「日本写真100景」(東京カメラ部主催)の都道府県別応募枚数をもとに調査を行いました。2020年から2022年までの直近3年間を対象としており、ランキングの発表は、コロナ禍で深刻な打撃を受けた地方の観光名所支援を目的としております。
本日は、プレスリリースで発表したランキング10位に加え、20位までご紹介いたします。

まず、2022年の結果です。対象は、フォトコンテスト応募作品約2万枚です。

「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」2022

1位:長野県、2位:京都府、3位が本日ご登壇いただいている岐阜県、4位:滋賀県、次いで5位が東京都です。 このランキングは、先日ダイヤモンド社様から発表された「都道府県魅力度ランキング」と大きく異なる結果です。 「都道府県魅力度ランキング」では、1位が北海道でした。本ランキングで1位の長野県は12位。「都道府県魅力度ランキング」では46位の茨城県も、写真家にとっては20位です。岐阜県も「都道府県魅力度ランキング」では34位で、この結果から、地域の魅力度と写真の撮影地、被写体の多寡は異なることがわかります。

今年の結果をご覧になって、中村様、横田様、どのようにお考えでしょうか。

中村氏旅行者にとって、旅行と写真撮影は切っても切り離せない関係なのだと思います。ただ、写真家が写真家の目線で見たときに魅力のある場所というのは、一般的な旅行者とは違ってくるのかと思います。そのような観点で、地域の魅力は、都道府県やいろいろなところからの情報発信で変わってくるのではと感じています。

横田様は、いかがでしょうか。

横田氏私はあまり魅力度ランキングの順位を信じていません。ただ、今回の「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」については純粋に、写真に映えるというか、すごく良い写真が撮れるスポットがたくさんあるというように、良い面があるようにとらえています。

高山ありがとうございます。「写真好きによる日本全国の撮影地人気ランキング」は、人口規模のランキングとも異なります。作品を応募している写真家の方々は皆さんが撮っていない場所を探して撮る方々も多いと思いますので、撮影地ランキングで上位に入っているということは、魅力度ランキングでも上位に入ってくる可能性があるのかな、と個人的には思って見ております。

続いて、2021年の結果です。対象は、応募作品約1.6万枚です。
1位の長野県、2位の京都府は変わらず、3位:滋賀県、4位:東京都、5位が岐阜県という結果でした。

そして、2020年の結果です。対象は、応募作品約1.6万枚です。
1位は変わらず長野県、2位:東京都、3位:京都府、4位:福島県、5位:静岡県という結果で、岐阜県は7位でした。

以上の結果を並べますと、岐阜県の順位は、2020年 7位→2021年 5位→2022年 3位と、毎年2つずつ順位を上げております。

人気撮影地となった岐阜県・岐阜市の取り組み
-全体像-

それではここから、毎年順位を上げていらっしゃる背景にはどのようなお取り組みをされているのか、岐阜県内で実施されている施策を中心にお話ししたいと思います。

また、中村様、横田様からは、実際の課題感から解決に向けた施策内容、考えていらっしゃる今後の展開などをお話しいただきます。

まず簡単に、東京カメラ部でご支援させていただいている岐阜県内の施策をまとめました。

岐阜県が人気撮影地として発展している背景には、県と市の効果的な相互作用があると考えております。全域に対して広く施策を打てる岐阜県様と、狭域に対して深い施策を打てる岐阜市様の役割と施策分担がしっかりと成され、相互にファンを定着させている結果であると考えています。

最初の認知拡大のフェーズでは、岐阜県様が岐阜県全域や広い地域に対する施策として、「フォトコンテスト」「Instagram運営」「フォトスポットサイト」を実施されています。この取り組みで岐阜県のファンになった方を、より深くコアファン化に繋げる施策として岐阜市様の「月と岐阜城」「岐阜市内のフォトスポットサイト」「東京カメラ部写真展へのご出展」があります。

東京カメラ部が岐阜市様と岐阜県様にお声がけいただいたのは、ほぼ同時期ではありましたが、連携施策などではなく、個々の課題感に対して施策を実施していった結果、良いサイクルや役割分担が生まれてきたと感じております。

連携せずに始まった県と市の施策ですが、このような形で作用されているご実感はございますか。

中村氏フォトツーリズムに関して岐阜県の方とお話ししたことはあまりなかったのですが、このように並べてみると、お互いの目的や分野がちゃんと整理されていて、相互的に作用されているのが体系的にわかりますね。

横田氏そうですね。最初に東京カメラ部さんとお話をさせていただいた時に、別で岐阜市さんがご相談をされているとは聞いていました。ただ、岐阜県、岐阜市それぞれに目的が違うだろうと考え、私たちは岐阜市の方と話はしていなかったのですが、結果としては非常に良い役割分担で実施できていると思います。

 

ありがとうございます。ここから、より具体的な施策をお話しします。

岐阜県の取り組み
-フォトコンテストと入賞作品の活用-

まずは、岐阜県様のフォトコンテストについてです。
東京カメラ部では、2020年から2022年にかけて3年連続で「ぎふの旅フォトコンテスト」の開催をご支援しております。

フォトコンテストは、Instagram上で綺麗な写真とともに岐阜県の魅力が拡散されていく認知拡大施策です。なかでも岐阜県様は、継続的に実施されて、毎年魅力が多く発信される期間を確保されており、収集した作品の二次活用にも注力してくださっています。

このフォトコンテストについて、実施の背景やフォトコンテストを活用したプロモーションについてお話しいただけますか。

横田氏岐阜県で、過去1年間を通じて写真素材を集めるという事業を実施していたのですが、撮影タイミング、本当に良い瞬間を撮れていないという課題を感じていました。
今回、3年間を通じて写真素材を集めるという事業の予算が確保でき、そのための施策としてフォトコンテストは大きな選択肢でした。また、私どもでは、運用していた公式Instagramアカウントのフォロワーが増えないという悩みも抱えておりました。この悩みも、フォトコンテストを実施することで解決できたと考えております。

フォトコンテストの実施目的は、訴求力のある良い写真を集め、その写真をポスターやSNS、Webページなど様々な媒体で活用し、岐阜県の誘客プロモーションを行いたい、ということでございます。

実施初年度は、秋冬の写真が主に集まると良いなという思いを持ちながら、10月から1月にかけて募集しました。募集期間4カ月、約4,000枚の応募総数でした。次年度は、春夏の写真を集めたいという狙いで、前回とは募集時期を少しずらして7月〜8月に募集しました。募集期間2カ月で約3,000枚くらいの作品を応募いただきました。

 

実施されて、フォトコンテストのご感想をお聞かせいただけますか。

 

横田氏やはり、写真のクオリティが高く、魅力のある写真がかなり多く集まってきたという感想です。魅力的な写真が多く、審査が大変だったのですが、嬉しい悩みというか、良い写真をたくさん選ぶことができてよかったかなと思っています。

 

ありがとうございます。フォトコンテスト入賞作品はどのように活用されましたでしょうか。

 

横田氏こちらは、2年度の受賞作品です。この年は、ぎふ長良川の鵜飼や淡墨桜、本当に魅力的な写真が多く集まりました。

横田氏岐阜県観光連盟が運用するInstagramの公式ページで応募作品をご紹介しながら、フォローしていただいてフォトコンテストにご参加いただく仕組みでしたので、期間中3,000人くらいフォロワーも増えましたし、フォロワー増加の観点でも効果的なプロモーションだっと考えています。
左下にある画面のように、受賞作品がこういう形でバッと並ぶので、インパクトもあるかなと思っています。

こちらは3年度の受賞作品です。

横田氏フォトスポットサイトの制作で活用した作品で、岐阜市さんもフォトスポットサイトを制作されていますが、このような形でのPRも実施しております。

また、観光連盟では「岐阜の旅ガイド」という岐阜県の観光公式サイトを運用しております。

岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」

横田氏今年2022年の3月リニューアル時、ページの左上の一番目立つメインビジュアルにできるだけインパクトのある魅力的な写真を季節ごとに、かつ、できるだけ縦横比を変えずに使用したいという狙いで、フォトコンテストの入賞作品を主に掲載しております。
フォトコンテストの入賞作品を30枚、Webページに合う横置きの写真を追加で10枚ほど別途契約をして、利用許諾をいただいて使用しております。
効果の例をお示ししますと、リニューアルしてから2022年10月11日までで、Webページのページビュー(PV)が対前年比142%で増えております。また、最初に淡墨桜の写真を使わせていただいた際には、約7万PVとかなり多くの皆さまに見ていただいたととらえております。

ビジュアルを変えて、数字での結果も出ていらっしゃるのですね。フォトコンテストの入賞作品の活用について、周りの方や県内の皆さまの反応はいかがですか。

 

横田氏写真によって、PV、見られる数がだいぶ変わってきているのかなという印象で、このような写真は重要かなというようにとらえられています。

 

高山多くの自治体様のなかでも、岐阜県様はかなり積極的に入賞作品を活用されていらっしゃいまして、結果としてこのように効果が出ています。

フォトコンテストの活用事例として他の自治体様の例をご紹介しますと、フォトコンテストを実施することで、今現在、一般の人に地域のどこが撮られているか/(想定に反して)撮られていないか、「思っていたのと違うな」とか「予想通りだな」というように仮説検証リサーチの観点で応募作品をご確認されているケースもございます。
また、入賞作品をSNSに投稿し、ご覧になったフォロワーの反応(いいねやリーチの数値)の良かった作品をホームページやポスターに採用している自治体様もいらっしゃいます。

フォトコンテスト入賞作品の活用事例として、JR名古屋駅での写真展をご紹介いただけますか?

横田氏コロナ禍でリアルな場所で実施した、受賞作品を活用した誘客プロモーションの例をご紹介します。 JR名古屋駅のコンコースに100面のデジタルサイネージがあります。広告という形になりますが、受賞作品のデジタル写真展を開催いたしました。フォトコンテストの入賞作品のうち25作品をコンコースの100面のデジタルサイネージに一斉に表示する写真展で、かなりインパクトのあるPRになったかと思います。そして、上帯には、東京カメラ部さんとのコラボということで東京カメラ部のロゴを入れ、下帯にはJR東海さんとの連携ということで、列車の写真と「岐阜への旅はJRで」のキャッチコピーをデザインして放映しました。
同様デザインのポスター等も作成し、岐阜県の誘客プロモーションにも活用させていただいております。

岐阜県様のように、入賞作品をこのように多くの方がご覧になれる場で活用いただきますと、入賞者の方もとても嬉しく誇りに思われ、今後も岐阜県の魅力をどんどん発信していきたいというモチベーションにも繋がります。フォトコンテスト入賞作品の活用として素晴らしい事例だと私どもも考えております。

岐阜県の取り組み
-Instagram運営-

では続いて、岐阜県様で行っている飛騨地域観光協議会様と岐阜県観光連盟様のInstagram運営についてご紹介いたします。

飛騨地域観光協議会の公式Instagramアカウント

東京カメラ部が受託し運営中のアカウントは、飛騨地域観光協議会様のInstagramアカウントです。(なお、東京カメラ部では岐阜県観光連盟様のアカウントも運営実績がございます。)
SNS運営は、一般のユーザーにご投稿いただいた作品をご紹介する「UGC(User Generated Contents)」にて運営しております。一般の方のご投稿が増えるほど宣伝効果が見込め、また、高品質な作品を収集できるという観点で、コンテンツ確保に悩まれている団体様にとっても効果的な方法となっております。

SNSでの情報発信について、横田様よりご紹介いただけますでしょうか。

横田氏飛騨地域観光協議会は、飛騨エリアの4市村と県で組織している協議会で、その情報発信のひとつの手段としてInstagramのアカウントを立ち上げ、東京カメラ部に運用を委託しています。「#hidatrip」というハッシュタグを付けて投稿いただいた写真の中から、ご本人の許可を得てこのアカウントで紹介する形で投稿しています。フォロワーゼロからのスタートでしたが、3月31日時点ではフォロワーが約1,800人、ハッシュタグを付けた作品の投稿が約5,000になりました。

岐阜市様でもSNSの発信を実施されています。

中村氏岐阜市は、シティプロモーションを目的とした岐阜市の公式InstagramなどのSNS運営や、例えば岐阜市内の夜景のような観光に特化したInstagramも運営しています。
また岐阜市には、岐阜城や戦国的な観光の魅力もありますので、そのような戦国の魅力に特化したInstagramを運用するなど、目的を分けたInstagramの運用を行っております。

地域全体を発信される岐阜県様と、更にコアに特化した魅力について発信する岐阜市様、先ほどお見せした魅力発信とコアファン化にしっかりとつながっているのではないかと思っております。

岐阜県の取り組み
-フォトスポットサイト「ぎふの旅フォトスポットサイト」-

岐阜県様の施策として、最後に「ぎふの旅フォトスポットサイト」についてご紹介いたします。

ぎふの旅フォトスポットサイト

このフォトスポットサイトは、フォトスポットに特化した情報サイトで、岐阜県全域にわたるフォトスポットをコンテスト入賞作品とともに地図上に落とし込み、撮影地情報を掲載しています。このようなサイトがあることで、「写真を撮りに岐阜県に来てください」と伝えることができます。こちらのフォトスポットサイトは、また後ほど岐阜市様と比較した情報もお伝えできればと存じます。

岐阜市の取り組み
-月と岐阜城-

 

続きまして、岐阜市様の施策をご紹介いたします。 より深く、岐阜市に興味を持ってもらい来訪に繋げるという施策が中心です。被写体を活用した観光誘致を成功させている例として「月と岐阜城」をご紹介いたします。
皆さまも一度はご覧になったことがあるのではないかと思いますが、岐阜城の後ろに月が写る写真です。昨今は、岐阜城の例が全国各地の城でも応用されて撮られており、岐阜市発信の撮影方法となっております。写真家の小林淳(こばやしあつし)さんが発信した作品が反響を呼びまして、多くの写真好きが訪れるスポットとなりました。その人気をしっかりとコンテンツ化に落とし込み、ツアーも実施されています。中村様、詳しくお話しいただけますでしょうか?

中村氏「月と岐阜城」のコンテンツ化ということで、近年ですと中秋の名月や月食の時を中心にメディアで露出が増えていますので、皆さんも一度はご覧になったことがあるかと思います。

中村氏左下に出ている小林さんの作品も例にした「月と岐阜城」のお写真です。もともと岐阜市の観光というと、ぎふ長良川の鵜飼と、岐阜城が二大観光コンテンツという強みがあります。岐阜城は金華山(標高約300m)の上に立つ山城ということで、金華山の周りが平野で囲まれていて、何kmも離れた所から岐阜城が見られるという立地的な地元の資源の強みを活かして、バリエーション豊かな「月と岐阜城」が撮影できるといったところが背景にあります。これまでは、SNSで写真家の小林さんを始め写真家の方がいろいろな写真を投稿をされることで話題になって、それを見た方が岐阜市を訪れ、また写真を撮っていく、というサイクルでした。

更に拡大するという観点で、写真家だけでなく一般の方も対象にしたコンテンツにできないか、と考え、2021年度にプロポーザルを実施しました。
ご提案の中に、スマートフォンを使った「月と岐阜城」の撮影ツアーのご提案があり、そのご提案を採択し実施しています。
「月と岐阜城」をスマートフォンで撮影するツアーとは、いくらカメラの性能が良くなったとはいえスマートフォンでそのまま「月と岐阜城」を撮っても、なかなか綺麗には撮れないので、天体望遠鏡を使いながら、そこにスマートフォンをアダプターを付けて写真を撮るという撮影体験ができるツアーです。
ツアー企画にあたっては、「どういう機材を使ったらよいか」や、気象条件、毎日変わる月の出や軌道、どういうところで撮ったら良いかということを1年間調査、意見交換会を実施しました。今年度2022年度に、9月と10月に3日間ずつ、一般のお客さんを募集してモニタリングツアーという形で実際のツアーを実施しました。このツアーは、大体合計で定員40名で設定したところ、定員に対して約3倍以上、約130名の応募がありました。
募集の段階で非常に人気の高いコンテンツだとわかったことと、実際にやってみてテレビや新聞のメディアにも取り上げていただけたこと、また参加者アンケートではほぼ100%に近い満足度であったことがわかりました。非常に魅力的で満足度も高いコンテンツだと言えます。とはいえ、モニタリングツアーでは、どうしても細かい課題なども出てまいりますので、そういったことを一つひとつ整理しながら今後実施可能なコンテンツにしていきたいというところでございます。

このようなコンテンツがあるということは、県としても嬉しいことですよね。

横田氏そうですね。月と岐阜城の写真は本当にインパクトがあって、私どもでも使わせていただいてます。このような取り組みが県全体の発信につながるかと思いますので、岐阜市以外の市町村でも取り組んでいただくと面白いのかなと思います。

高山1枚の写真がこのように人を動かすという、本当に素晴らしい実績だと思います。
また、人を動かすだけでなく、実際これをちゃんとお金が落ちるコンテンツ化をすることを、岐阜市様が取り組んでいらっしゃるということですね。

岐阜市の取り組み
-フォトスポットサイト「カメラと旅する岐阜市」-

東京カメラ部では、先ほどの「月と岐阜城」を流行させた小林淳さんにもご協力いただき、フォトスポットサイトの「カメラと旅する岐阜市」を制作しています。

カメラと旅する岐阜市

このサイトは、まず、写真家の方に高品質で誰もが「撮りに行きたい!」と思えるようなスポットを発掘、撮影していただいた作品をサイトにまとめています。
撮影に関するアドバイスなども含めて、写真撮影を軸とした岐阜市内の楽しみ方を提言し、来訪意欲の醸成を図る施策です。
このフォトスポットサイトでは撮影地でのマナー啓発なども継続的に更新されています。中村様、お話しいただけますか?

 

中村氏フォトスポットサイトは2020年度から始めた事業で、写真に特化したフォトスポットサイトを作ることで、観光誘客を図るということが狙いです。
写真のフォトスポットを選ぶにあたって、東京カメラ部の写真家にお越しいただきました。岐阜市は、岐阜城や鵜飼といったように写真映えするような所はあったのですが、そのような場所でも、実際に写真家の方が「もう少し時間帯を変えてみると綺麗に撮れる」ですとか、今までよく撮られていた場所とは違う場所で撮影とか、そういった定番以外でもあまり脚光を浴びなかったお寺や神社などを発掘しながら、写真が中心となって注目をひくようなWebサイトを目指して作ってきました。
写真に特化したサイトがコンセプトですので、フォトスポットサイトでは観光情報と合わせ、カメラの設定方法や撮影ポイント、撮影マナーも合わせて載せることで、写真を撮りやすい環境の情報を整備して掲載しています。また、継続的に内容を更新し、何度でも岐阜市に来たくなるようなWebサイトを目指しています。

高山ありがとうございます。このフォトスポットサイトを作るために、まずはフォトスポット開発をしています。開発といっても大仰な話ではありません。例えば、ほとんどの観光施設のオープン時間は、9時から5時まで。でも写真を撮る人からすると、朝日とか夕日、夜の時間が良かったりするんですね。オープン時間を少し延長するだけで高付加価値のツアーを作るきっかけになるかもしれません。また、普段は入れない場所もガイド付きで入れるようにするなど、少しの工夫でも全然違うコンテンツになる可能性があります。
また、このフォトスポットサイトは岐阜県様でもご用意しています。ただ、岐阜市様とはターゲットや目的が違うので、ページの見せ方を変えております。
岐阜県様のフォトスポットサイトは、地図があって、カーソルをもっていくとそこに写真が出て、「そこはどこでしょう」というような、感覚的に、よりちょっとライト層に「岐阜県に行ったらどんな写真が撮れるのかな」と見ていただけるような、認知拡大施策の1つとして行っているものです。
岐阜市様のフォトスポットサイトは、トップのページに「人」「建」(たてもの)「彩」(いろどり)「時」というふうに、被写体のテーマごとに分かれています。写真を撮りに行きたい人が、クリックすると「このテーマだとこういう写真があるんだね」とご覧いただけるよう表示されます。一般的に写真を撮る人は、いろいろなジャンルを撮るわけではなく、風景を撮る人は風景、人を撮る人は人と、結構ジャンルが分かれているので、そこを明確に意識して作ったサイトになります。

ありがとうございます。先ほどからお名前も出ていらっしゃる小林淳さんは岐阜県在住の写真家さんです。地域をよくご存じで、魅力を最大限に引き出して発信してくださる地元の写真家さんを起用することによって、効果的な情報発信や写真の連携施策を展開できます。また、こちらは小林淳さんの作品を活用したポスターと写真家さん自身がその地域の魅力をしっかりと発信してくださっている事例です。

ここで岐阜市様よりイベントのご紹介です。

中村氏先ほどご紹介したWebサイト「カメラと旅する岐阜市」のコンテンツの一つ「ぎふ灯り物語」イベントをご紹介します。「ぎふ灯り物語」は、2021年から始まった冬限定のライトアップイベントです。有名な観光イベント鵜飼は夏のシーズンですので、冬のシーズンを盛り上げるかつフォトジェニックな、写真を意識したイベントが何かできないか、また併せて岐阜市内の岐阜和傘や提灯というような伝統的な工芸品の活用やPRができないか、写真で撮ってもきれいなイベントが何かできないかということで企画し、実施したのが始まりです。3回目、年明け2023年1月21日~29日までの9日間行うイベントになりますので、ぜひお越しください。

フォトスポットサイトで写真の撮り方などをご覧いただけますので、ぜひご参考になさっていただければと思います。

高山現在、各自治体様で開催されているイベントの多くは、来てもらって楽しんでもらう+写真撮ってもらいたいというイベントです。そこに、写真家さんの目線で、写真を撮りやすいイベントに改良するというひと工夫は必要だと思いますし、「ぎふ灯り物語」は、その観点で工夫されているイベントです。

岐阜市の取り組み
-東京カメラ部写真展へのご出展-

岐阜市様の施策として、最後に、東京カメラ部写真展へのご出展についてご紹介いたします。岐阜市様には、2022年9月に開催した写真展にもご出展いただきました。渋谷ヒカリエでの写真展では、市内の魅力を首都圏の写真好きに直接的にアプローチすることができ、主要ターゲットに対して認知拡大と来訪意欲の醸成を図ることができます。
中村様にも実際に会場にご在廊いただきましたが、写真展までのご準備を含めまして、写真展はいかがでしたでしょうか。

中村氏「カメラと旅する岐阜市」などWeb上でのPR展開上、また、当然岐阜や愛知県また中部圏内では、割と岐阜城や鵜飼によって認知度があると思っている中で、首都圏などの地域ではまだまだ岐阜市の魅力を伝え、働きかけていく必要があると考えて出展しました。
実際に出展して写真好きの方に岐阜市の魅力を伝えていくことも、岐阜市に来ていただいた方から生の声を聞くことも貴重な機会だと思って出展させていただいたことが始まりです。東京カメラ部写真展の岐阜市ブースに展示した月と岐阜城の写真は、写真好きの方でも「これって合成なの?」などと言われる方もちらほらいらっしゃいました。「遠近法で撮れますよ」など説明しますと興味を持ってくださり、多くの方から「今度岐阜に行ってみたい」というようなお声を頂戴しました。そのような直接の、双方向のコミュニケーションができる機会がコロナ禍では少なく、写真展会場ではそのようなコミュニショーションができ、本市への誘客につながっていくとても魅力的な機会だったと感じております。

オンラインでの見せ方とリアルでの見せ方、両方を実施するメリットや重要性などは感じていらっしゃいますか?

横田氏プロモーションの際に気を付けているのは、オンラインとリアル、どちらかだけでなく、バランスよくやるのが大事だということです。Webももちろん大事ですが、リアルな場所での発信というのが同じくらい重要かなと考えながら事業は実施しているつもりです。

高山リアルだと深さが違いますよね。

今回の東京カメラ部2022写真展は、4日間の開催で約1.3万人の方にご来場いただき、なかでも20代が最多来場層でした。若年層は、どの自治体様もアプローチを強化したいセグメントだとお聞きしています。
会場でご回答いただいたアンケートの質問「写真展を見てどこに行きたくなりましたか」には約9%の方が「岐阜県に行きたくなった」と回答されており、2つの自治体が参加されていた1位の北海道に次いで第2位の結果となりました。
中村様、この結果をご覧になっていかがですか。

中村氏この結果は、素直に嬉しく思います。
インパクトのある写真をきっかけにコミュニケーションをとって、「『月と岐阜城』だけではなく岐阜にはこんなに写真を撮れるところがいっぱいあるんだ」ということを伝えられたらと思っていましたが、その結果が出たのかなと思っています。

ありがとうございます。これまで岐阜市様の三つの施策についてご紹介しました。
中村様、魅力発掘からコンテンツ化までのプロセスにおいて、施策の中で意識されていることは何でしょうか。

中村氏ここまでのご説明と若干重複する部分もございますが、意識していることは、

  1. 「幅広いフォトスポット開発」として、「カメラと旅する岐阜市」のWebサイトでは、岐阜市の景観の鵜飼や岐阜城などから、今まであまり注目されていなかったフォトスポットもどんどん発掘して、本市の魅力発信につなげていきたいということ
  2. 「地元に配慮した情報発信」としては、Webサイトでもマナー情報を発信すること。また、「月と岐阜城」のコンテンツ化の際にも出てきた駐車場や撮影地の問題をないがしろにしないこと。この問題をないがしろにすると、コンテンツ化の大きな壁となります
  3. 「楽しめる層の幅を広げる」ということで「月と岐阜城」の写真撮影のように、幅広い層に広がる手段や機会を提供すること。このような写真は専門的な機材やカメラの知識がないと撮れなかったものを、スマートフォン1つで撮れるようにすることで、幅広い層に裾野を広げて岐阜市に興味を持ってもらえます。

併せて「地元事業者を巻き込んだ施策」ということで、月と岐阜城の撮影ガイドに、先ほどから紹介している小林淳さんなど地元の写真家を活用したり、コンテンツ作成にあたり、地元の温泉旅館などと意見交換をしています。まだ具体的な形になっていない部分もありますが、そういったところも巻き込んでコンテンツ作りをしています。

今後の展望

次の目標や今後の展望についてもお話しいただけますでしょうか。

中村氏「写真家による日本全国の撮影地人気ランキング1位を目指します!!!」
毎年2位ずつ上がってきていますので、来年2023年は1位を目指します。
では1位になるためにはどうすればよいかということで、
まず1つ、これが一番核になると考えていますが①「コンテンツの自走化」。
今年度2022年度「月と岐阜城」スマートフォン撮影ツアーのモニタリングツアーを実施し、来年度2023年度以降はそのツアーが核となって、本市の誘客に結びつくような形にしたいと思っています。

併せて2つめ。②「継続的な情報発信」で、Webサイトで①の情報やその他の情報発信をしていきます。

そして③「フォトツーリズムの魅力PR」。Webサイトだけでなくリアルも大切にして、イベントや東京カメラ部さんの写真展を通して、より密なコミュニケーションをとってPRし、1位を目指したいと考えております。

 

以上、岐阜県様と岐阜市様が人気撮影地に発展させた施策をご紹介いたしました。
各課題感は、自治体様によって異なると思いますが、人気撮影地に発展させる為に必要なことは共通するのではないかと考えており、最後に「人気撮影地に発展させる為に必要なこと」という点についてお話をさせていただきます。

人気撮影地に発展させるために必要なこと

効果的な魅力発信は、自治体様だけで行うのではなく、一般ユーザーを巻き込むことで、コンテンツの生成や地元資源の魅力発信を行うことが不可欠です。地元の資源を「写真撮影」という観点で洗い出し、魅力的に発信することが重要です。そのためには、自治体様側から魅力発掘や情報発信をした後、来訪者にも積極的な撮影とSNS発信をしていただけるように導く必要があります。その中でも「月と岐阜城」のように他と差異化できるような被写体をしっかりとコンテンツ化まで落とし込み、来訪者によって更なる認知拡大を進めた後、自走化に向けて、現地でお金が落とされる仕組みまで持っていくことで人気撮影地としての発展に繋がるのではないかと思います。
「地元資源をコンテンツ化まで持っていく」ということは、決して簡単なことではないと思います。こちら、一部東京カメラ部でご支援させていただいている施策ですが、課題感やフェーズ・目的に応じて、施策を打ち出すことが重要になります。地元の何が良いのか、何が良い被写体になるかがわからないという課題感には、フォトスポット開発を実施することで、映える被写体を発掘することができます。
またその後は、それらを発信する先としてSNSの運営、フォトコンテストの実施、写真展ご出展などを行い認知拡大を目指します。実際に来訪者に来ていただく施策としては、フォトスポットサイトの制作やライトアップ事業、ツアー化などを実施するというところで、コンテンツ化まで落とし込んでいきます。写真施策をスポット施策としてお考えになられるのではなく、一貫した流れとしてお考えいただけると、より撮影地の発展に繋がっていくと考えています。一つの自治体様で行うことが難しければ、地域全体の人気度底上げになるよう地域の連携をしたうえで、このような写真施策を行っていくのも一つの方法かと思います。

皆さまの課題感やフェーズに合わせて、今後の施策のヒントになれば幸いです。

最後に、今回のセミナーを通じてお考えになったことなどをお聞かせください。

中村氏これまで岐阜県さんがいろいろやられていることは存じ上げていましたが、面と向かってこういうことをやっていると整理できて、お互いが良い役割分担をしているのかな、と改めて理解しました。今後の岐阜市の施策の参考になり、岐阜市のためにもセミナーとしてよかったなというのが感想です。

横田氏フォトコンテストは、目的をしっかり持って実施するのが大切だと考えています。私どもは魅力的な写真を集めるということと、写真を二次利用してプロモーションを実施することが大きな目的でございますので、それについてはある程度達成できているのかなと考えております。
もう1点、SNSでのフォトコンテストは「実際にその方が撮ったのか」という確認が、実施後の二次利用を考えると非常に重要ですが、そのあたりは東京カメラ部さんでしっかりとやっていただけているので、安心してできているのかなと思います。
また、岐阜市さんの取り組みは、お金が落ちる仕組みという形でツアーにしたり、ライトアップにしたりと非常に素晴らしい取り組みだと思います。私ども観光連盟でも、そういう体験プログラムの予約サイトも持っていますので、そちらにぜひツアーをアップしていただき、募集の面でもご協力できたらというふうに考えております。

質疑応答

以上でセミナーは終了させていただき、質疑応答へと移ります。

 

高山今回岐阜県様は広域で施策を打たれており、様々な魅力ある自治体様のものを発信して、まずは岐阜県に興味を持ってもらい、知ってもらう、来てもらうきっかけになるところだと思います。
岐阜市様に関してはより狭域で、そこで実際にお金を落としてもらい、継続的にお金を稼げる仕組みを作っています。岐阜県様と岐阜市様と打ち合わせしたわけではないのですが、きっちりと役割分担されており、それがちゃんと皆さんオンラインとリアルそれぞれで展開されているというところが良かったですよね。
また、共通している点としましては、InstagramなどのSNSを活用されていて、写真とSNSはとても親和性が高く、皆さんがマネしたくなる写真を撮りやすい環境を作るとか、そういった写真をどんどん発信されているという点が岐阜県様も岐阜市様も共通されていたかな、と見ておりました。
何かご質問ございますでしょうか。

 

ご参加者からのご質問です。「今後インバウンド施策への活用は予定されておりますか?」

中村氏「月と岐阜城」もそうですが、日本人をターゲットにしたコンテンツであるとともに、外国の方にも非常に注目を浴びるコンテンツかなと思っております。
それを具体的にどうしようかとは定まっていないところですが、鵜飼観覧船の高級化など、鵜飼や城の一味違った楽しみ方も岐阜市では行なっているので、そういったことと絡めながら岐阜市に来てもらえれば良いなと考えています。

横田氏魅力的な写真を集めるという目的で各施策を実施しており、その写真はもちろんインバウンド、海外の方が見ても魅力的なフォトスポットになると考えております。写真をうまく活用しながら、特にWeb上になるかと思いますが、インバウンドの方々にもプロモーションしていければと思います。

高山「月と岐阜城」は、インバウンドの方々にとても訴求できそうな気がしますよね。インバウンドに対しても、フォトコンテストや入賞作品の活用、SNS発信は本当に魅力的な施策になります。
日本人向けの写真選定なら、なんとなく日本人に反応のよい作品はわかるような気がするかもしれませんが、海外の方がどんな写真を好むかということはなかなか分からず、写真を選定されるご担当者は不安になるかもしれません。
そのような時に、例えば欧米向けの写真選定を欧米出身の方が実施しても、本当に欧米向けに訴求力のある写真かどうか分かりません。
このような時こそ、SNSで発信し、ターゲットの方々が好きな写真を数値で判断して、それをポスターで使い、成田空港、羽田空港、海外で使うといった活用をされると良いのではと思います。

続いてのご質問です。「フォトスポットやInstagram映えするポイントなどは、どの辺まで情報公開していますか?撮影方法やWeb情報と実際のスポットでの看板やフォトスタンドの設置などについて教えてください」

中村氏実際の場所に看板などは、本市では設置していません。あくまで、Web上やアプリなどオンライン上で場所や撮影方法を公開しています。 併せて2021年度は、東京カメラ部さんと一緒にスマートフォンアプリでのサービスを提供しました。GPSで実際の撮影地点に行くと、音で撮影マナーや撮影ポイントを教えてくれるアプリです。しかも、説明ボイスガイドを声優の梶裕貴さんにやってもらうという豪華な施策を東京カメラ部さんにも協力を得て実施しました。

横田様、岐阜県では撮影場所の情報公開をどのあたりまで行っていらっしゃいますか?

横田氏あまりしていないのではないでしょうか。
どこで撮られたかはもちろん紹介していると思いますが、それ以上のことはまだできていないのかと思います。

高山撮影場所情報をどこまで公開するかというのは、住民の方との合意が取れるかが重要になってまいりますので、合意が取れる場所は積極的に、例えば「ここにスマートフォンを置けば綺麗に撮れますよ」という目印を置くこともありかと思いますし、実施されている自治体様もいらっしゃいます。

続きましてご質問です。「平均滞在期間、移動距離、宿泊場所等、写真好きの方の行動傾向や特徴が分かれば知りたいです。例えば同一日程で広域周遊される可能性があれば、スタンプラリーなど検討できるかもしれないなと思いました」

高山カメラが好きな方のなかでも、プロに近い方々ともう少しライトな層に近い方々で行動傾向は異なります。
プロに近い方々は車中泊、朝日や夕日で1ヶ所や2ヶ所を集中的に撮るという行動が多いです。そのような方々には、「特別に入れるツアー」や「宿泊したら特別に撮れます」といった工夫が必要になります。もう少しライトな層は「宿に泊まったらそのツアーに1,500円で参加できますよ」など気軽なプランに参加してくれますし、スマートフォンで投稿してくれる方々です。

本日はありがとうございました。

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